Begonia ‘淡雪’作出者トイ吉氏に聞く
- 広報部

- 2025年9月15日
- 読了時間: 6分
今年の春、日本ベゴニア協会総会に於いて優れた交配種に贈られる“さくらひめ賞”をトイ吉さん作出の“淡雪”が受賞しました。(トイ吉さんは日本ベゴニア協会関西支部所属)
さくらひめ賞はここ19年間該当なしという冬の時代を越え、みごと“淡雪”が栄冠を手にしたのでした。しかもこの“淡雪”は彼が大学生のときに作出したものだというから驚きます。

そんなトイ吉さんはこの春大学を卒業され、無事就職するのかと思いきや、トイ吉園芸という会社を鮮やかに立ち上げてしまったのです。
このトイ吉園芸は、ベゴニアをはじめとする熱帯植物全般を扱い、個人輸入や自家生産などを行い、イベント販売を中心にヤフオク、YouTubeライブ販売など精力的に活動しているそうです。
オキボタMAXというイベント販売で東京にいらっしゃるということで、急遽取材をお願いしました。前日の夜に。笑

◆本日はよろしくおねがいいたします。まず最初にベゴニアを好きになったきっかけを教えてください。
たまたまホームセンターでレックス・ベゴニアを見て、人工物ではなく植物でこんなに赤や白、シルバーといった色味の植物があるのかと興味を持ったことがきっかけです。
◆いまベゴニア栽培は仕事にしているわけですが、趣味としての側面もあるのですか?
もちろん元々は趣味家なので、いまも半分は趣味のような感じでやってます。自分の中でこれは手元に残しておきたいと思うものもありますし、親株として増やして販売にまわそうと思うものもあります。ですから今もコレクターであり、生産・販売者でもあると思っています。

◆トイ吉さんにとって“淡雪”はどんな存在ですか?
“淡雪”は私が作出した中でも最高傑作だと自負していますし、自分の中では特別な存在です。花色だったり葉模様だったり、すべての点でバランスの良い品種なので後世に残していきたい品種だと思っています。
◆この“淡雪”は今年度さくらひめ賞を受賞したということですが、どんなお気持ちですか?
さくらひめ賞という賞を知らなかったですし、これまで19年間受賞作がなかったと聞いて、とても驚いてますしとても光栄に思います。これをきっかけとして来年以降も受賞できるような品種を作り出したいです。

◆今後もオリジナル交配種を増やそうと考えているのですね?
そうですね。まだ発表していないものを含めると、いままで12品種ほど作出しているのですが、三元交配を試したりなどさらに作出と選別をしていきたいと考えています。
◆オリジナル交配種を考えるときには、葉模様や花などの出来上がりのイメージをあらかじめ持って交配しているのですか?
同じ大陸、同じ地域のものを交配させると、特徴が似通ったものになることがあるので、自然界ではまったく交配しないであろうアジアのものに南米のものを交配させるとか、同じアジア同士でも木立性と根茎性のベゴニアを交配させるなど工夫します。
“淡雪”の場合、オレンジ色の花のB.ignitaと白い花のB.sp.Halmaheraを交配させたらピンクの花が出てきた。そのように予想できないことも含めて狙って交配をしています。
◆現在アパートの部屋で栽培したり殖やしたりしているそうですが、そのあたりのご苦労はありまか?
現在は6畳一間のアパートでやっているのですが、熱帯植物の栽培はご存じのように湿度が必要になってくるので、壁が腐ってきたりとかスペース的に手狭で、いろいろな意味で限界に近くなっているなと感じています。なので今後新たなスペースを借りようかと悩んでいるところです。

◆トイ吉園芸を開業したいきさつを教えてください。
5年ほど前にベゴニア沼にはまって、これを職にしてベゴニアの普及活動に務めていけたらと考えたことと、“淡雪”のようなオリジナル交配種をさらに作出していきたい。そうするといくら時間があっても足りないので、開業して専門性を高められたらと考えました。

◆開業してみて大変なことや楽しいことはなんでしょうか?
大変なことはほとんど資金がない中で始めているので、とても不安定で1年後、2年後のことを考えられないくらいチャレンジングなことをしていることです。楽しいことは、好きなこと、植物と触れ合うことを仕事にていることと熱帯植物の普及活動を通じて、お客様と触れ合えること。前のイベントで植物を購入してくださったお客様が、あのときの植物がとても良かったからまた買いに来たよ!と言ってもらえるのがとても嬉しいですね。

◆普及活動はどんなことをされていますか?
SNSやYouTubeチャンネルでベゴニアの魅力や育て方などを動画にして発信し、認知を広めたいし、実際に広められている気がします。
◆トイ吉さんの見立てでは、ベゴニア好きの方は増えていると思いますか?
一昔前のブームを体験していないので、その頃との比較は出来ないんですけどここ数年ベゴニア愛好家は増えていると感じます。斑入りのマクラータや原種ベゴニアに着目している方が増えているせいではないでしょうか。

◆先日はじめてタイの自生地へ行かれたそうですが、行ってみて感じたことはありますか?
今回目的があって、球根性の原種ベゴニアを中心に見に行ったのですが、球根性の原種ベゴニアはみなさん試行錯誤しながら育てていると思うんですけど、実際に見て感じたことは今までやっていたことが、間違っていたと感じる部分と、合っていたと感じる部分があって、非常に有意義でした。今回は球根性を中心に見たくて、タイの北部へ行きましたが、次はタイの南部で根茎性のベゴニアの自生地を見たい。それとインドネシアのボルネオ島にも行ってみたいなと考えています。

◆最近様々な国や地域のベゴニア生息域が開発などで減っていると聞きますが、タイに行ってみてその辺は感じられましたか?
現地でベゴニアは川沿いだったり道端に自生したりしているんですけど、レジャー施設が出来たり、道が拡張されたりとかで生息域が減っているということはガイドから聞きました。また観光客がベゴニアを乱獲するようなことも起こっていると聞いたので減少しているんだと思います。
本日ははさまざまなことをお話くださりありがとうございました。今後のご活躍を期待してます。
また会場では現地で採取されたものや、日本ではまだ見かけない輸入ベゴニアなどが並んでいてとても心躍りました。
今後も貴重な輸入ベゴニアや、ステキな交配種が発表されることを期待しています。
トイ吉さんのSNSやYouTubeは、以下の通りです。ぜひアクセスしてみてください。
YouTube @toikichi_gardening
X (Twitter) @toikichi_2
Instagram @toikichi_plants
*「さくらひめ賞」とは
当協会理事の故奥山正三氏のご遺志とそれに賛同された方々のご寄付によって、優れた交配作出種を顕彰する賞として1993年にはじまりました。
歴代受賞者は、
1994年山口英樹氏 B.‘Castor’
鎌田康禿氏(奨励賞)B.‘Chitose’(千歳)
1995年伊藤昭典氏 B.‘Granite’
1997年鎌田康禿氏 B.‘モモヤマ’
2002年中村美知子氏 B.‘Machiko’
2004年村山道子氏 B.‘Uzushio’(ウズシオ)
2024年トイ吉氏 B.‘淡雪’






