2026年4月例会
- 4月19日
- 読了時間: 4分
初夏を思わせるような陽気の中、今回もみなさん元気な顔を見せてくださいました。また長年お世話になった武蔵野公会堂ともしばらくお別れです。(改装のため)

今回の月例会では、会員による栽培技術の共有から、最新の導入種、さらには栽培環境における深刻な病害虫対策まで、多岐にわたる熱心な議論が交わされました。本稿では、特に注目を集めた「バチルス菌(納豆菌を含む微生物資材)」の活用法と、会員による最新の栽培報告をまとめてご紹介します。
微生物の力を栽培に活かす:バチルス菌の可能性

今回のメインテーマの一つは、身近な納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)をはじめとする微生物の園芸利用についてです。バチルス菌は植物の世界でも有益な微生物として知られ、病原菌を直接殺菌するのではなく、環境バランスを整えることで病害を抑制する「拮抗作用」を主目的として使用されます。
具体的には、抗菌物質であるサーファクチンなどの分泌による増殖抑制、病原菌に先駆けて定着することによる占有、さらには植物の全身獲得抵抗性(ISR: Induced Systemic Resistance)の誘導などが期待されます。
自家製の「納豆水」を作る方法として、パックに残った粘液をぬるま湯で溶かし、フィルターで濾して500〜1,000倍に希釈する簡易抽出法や、砂糖やドライイーストを加えて培養する方法が紹介されました。
しかし、植物学的知見に基づけば、自家製資材は菌数や状態が不安定であり、再現性に乏しいというリスクを孕んでいます。また、残渣に含まれるタンパク質が逆に病原菌の栄養源となり、腐敗を招く恐れがある点には十分な注意が必要です。
市販微生物資材の特性と戦略的運用

より安定した効果を得るためには、特定の菌株を選抜・安定化させた市販資材の活用が有効です。
例会では以下の3種を組み合わせた「防御体制」が提案されました。
バチスター水和剤(Bacillus subtilis):灌水時に使用することで根圏の環境を整え、根腐れしにくい土壌を作ります。
インプレッションクリア(Bacillus amyloliquefaciens):葉面散布により物理的なバリアを形成し、うどんこ病や灰色かび病の胞子定着を抑制します。
ベニカXガード粒剤:化学成分(クロチアニジン)による殺虫効果と、微生物成分(B. subtilis)による抵抗性向上を組み合わせたハイブリッド資材です。
バチスターとインプレッションクリアは、化学薬剤と異なり耐性菌が出にくいという利点がありますが、あくまで予防と環境維持が主目的です。発症後の治療効果は限定的であるため、日頃の通風、適切な灌水頻度、有機物の過剰投入を避けるといった基本的管理が前提となります。
「みんなのベゴニア」:注目種と展示株
展示コーナーでは、会員が丹精込めて育てた多様な原種・交配種が紹介されました。

特に注目されたのは、2022年に記載されたばかりの新種、Begonia robiiです。インドネシア・スマトラ島の石灰岩地帯に自生するカスト地形特有の種であり、アルカリ性土壌への適応性が示唆されています。葉縁が波打つ独特の形態は、成長とともにその特徴を顕著にします。


栽培環境の課題:サンルームの熱対策と病害
今冬から春にかけて、ある会員は「うどんこ病」の被害に悩まされたことが報告されました。特に、植物を過密に配置した環境では、送風機を稼働させていても局所的な停滞空気(微気象)が発生し、病害の温床となります。
また、近年、サンルームを増築した会員からは、晴天時の室温が50℃に達し、多くの株を失ったという深刻な事例も共有されました。二重の遮光ネットや「すだれ」の活用、さらには夜間の冷気流入とのバランスなど、気候変動に伴う過酷な夏季をいかに乗り切るかが、今後の共通課題として浮き彫りになりました。
提供苗
最後は提供苗です。

今回は3名の方から13種18株の提供を受けました。
B. sp. Gabon
B.'Sakura Cascade'
B. kingiana
B. kui
B. sp. Vietnam
B. blancii "Marble"
B. soli-mutata
B. U074
B. abdullapiei
B. thiemei
B. sp. Mindro
B. burkilli
B. blancii
今回の例会を通じ、植物への深い洞察と、科学的な根拠に基づくアプローチの重要性が再確認されました。春の成長期を迎え、適切な予防措置と環境改善を並行して進めていくことが、ベゴニア栽培の醍醐味であり、成功への鍵となります。
次回は5月2日13:30~錦糸町のすみだ産業会館での開催となります。




