2026年3月例会
- 4月1日
- 読了時間: 5分
早いものでもう年度末の3月。あっという間の一年でした。この一年、新たにメンバーに加わってくださった方もおりました。みなさん充実したベゴニアライフを送られているようでなによりです。
最初の企画は、Yさんによるフランスベゴニア協会との活動と世界のベゴニア協会の特徴が報告されました。

1.Begonia ‘Adrien Schmitt’ の調査報告
最初に紹介されたのは、Begonia ‘Adrien Schmitt’ という1888年にフランスで作出されたベゴニアについての調査です。
現在フランスにある株は葉裂が非常に深いのに対し、古い文献や写真に残るものは葉裂がそれほど深くなく、「本当に同じものなのか」「別の品種ではないのか」という疑問からフランスで調査が始まったそうです。

調査の過程で、フランスの愛好家が日本に存在する株に注目し、日本側へ問い合わせをしてきたことがきっかけとなりました。
日本国内でいくつかのナーセリーや植物園などに問い合わせをした結果、B. ‘Adrien Schmitt’ は見つからず、その代わりB. ‘Shinilart Adrien Schmidt’ というベゴニアが複数見つかりました。
その画像をフランスへ送り、フランスの株と比較検討した結果、現在日本でB. ‘Shinilart Adrien Schmidt’と呼ばれているものの方が、むしろ本来のB. ‘Adrien Schmitt’ の特徴を持っているのではないか、という見方が出てきました。
また、「シニラート」という不思議な名前の由来についても考察が進められました。
シニラートという意味はなんなのか?
フランス側の推測で、このような謎解きを披露してくれました。
“similar to Adrien Schmidt”(アドリーン・シュミットに似ている)
という意味の手書きラベルが、読み違いや転記の過程で
similar to Adrien Schmidt
similarto Adrien Schmidt rとtoがくっついてしまった
sinilart Adrien Schmidt mがラベルの汚れでnに見えた
Shinilart Adrien Schmidt 日本語の読みである「し」をSi→Shiに直した
というラベルの汚れやラベルの書き間違いでこのようになってしまったのではないか。という推理です。

完全な結論には至っていませんが、
日本に現存する「シニラート・アドリーンシュミット」は、原型にかなり近い可能性があること
フランスで現在「アドリーンシュミット」とされているものは、栽培の中で葉裂の深い個体が選抜されてきた可能性があることなどが見えてきました。
この内容は、フランスのベゴニア協会の最新の会報誌にも11ページにわたって紹介されたそうで、日本の栽培品が国際的な調査対象となった大変興味深い事例となりました。
2.世界のベゴニア協会について
続いて、世界の主要なベゴニア協会についての紹介がありました。

アメリカ・ベゴニア協会
1932年設立。世界最大かつ最も権威のある組織とされ、栽培品種登録の管理も担っています。
会報誌の発行、種子の保存・配布、未同定原種への番号付与など、学術面・保存面ともに非常に大きな役割を果たしています。
イギリス・ナショナルベゴニア協会
1948年設立。大規模な展示会文化を支える組織で、特に球根ベゴニアの華やかな展示に特徴があります。
アメリカが「コレクター文化」だとすれば、イギリスは「ショー文化」に特化しているといえます。
フランス・ベゴニア協会
1982年設立。原種保存や研究色が強く、大規模なベゴニア温室の維持や会報誌の発行、研究者との連携などを行っています。
オーストラリア・ベゴニア連合会
各州の協会がゆるやかに連携する形の組織で、交配種づくりや全国規模のショーが盛んです。
原種の自生しない国でありながら、交配文化が非常に活発なのが特徴です。
日本ベゴニア協会
日本は1970~80年代に独自の交配文化を築き、多くの優れた品種を生み出してきました。
原種の栽培だけでなく、交配によって新しい魅力を引き出してきた歴史があり、海外からも一目置かれる存在です。
今後はその歴史を踏まえつつ、さらに情報発信を強めていくことの大切さが話し合われました。
3.今後の協会活動について
協会活動の振り返りと来年度に向けた意見交換では、さまざまな提案が出されました。
主な意見としては、
・栽培法や病害虫対策など、テーマを絞った発表企画を継続すること
・日本の交配ベゴニアの歴史や、過去の作出品種をあらためて取り上げること
・協会として交配に取り組み、新たな品種づくりに挑戦すること
・名前の混乱している品種について、協会として整理・発信していくこと
・過去の会報を読み解き、原種や導入の歴史を学び直すこと
・一般の方にも魅力が伝わるよう、外向けのイベントや栽培教室を企画すること
などが挙げられました。
特に、「栽培展示だけでなく、由来や導入の歴史、名称の変遷なども含めて学べる場をつくること」は、今後のベゴニアの魅力を高めるうえで重要な方向性として共有されました。
5.展示株・提供苗の紹介
会の後半では、会員が育てた株の展示と配布が行われました。


最後は提供苗です。
今回は6名の方から18種23株の提供がありました。
B.sp. Aceh Sumatra
B.'Sakura Cascade'
B. incisa
B. sp. sumpur
B. bowerae nigramarga
イット
B.sp. Jambi
B.sp. Thailand 銅葉
B. 'Pseud Longiciliata'
B. U400
B. perakensis King var. conjugens
B. pinglinensis
B. sp. Sulawesi
B. pavonina
B. sp. Jambi 別タイプ
B. phuthoensis
B. handelii var. prostrata
B. 'Ivy Ever'

それぞれの株について、育て方の工夫や特徴、由来などが紹介され、実際に見ながら交流できる貴重な時間となりました。
ベゴニアは見た目の美しさだけでなく、背景にある物語や系統、育種・導入の歴史を知ることで、より深く楽しめる植物であることをあらためて感じる会となりました。




